2023年2月26日日曜日

小川未明 小さな針の音


小川未明(18821961)の作品に「小さい針の音」というのがある。

明治の初期に田舎で、小学校の代用教師をしていた青年は、生徒を愛し、子どもたちに慕われた。だが彼には都市に出て受ける資格試験の夢があった。

旅立つ彼に生徒たちが贈ったのが懐中時計であった。資格試験に合格し、就職をし、重役にまで昇り詰めた彼は、昔に手放してしまった、あの生徒たちから贈られた時計に偶然に出会うのだ。

その時を刻む秒針の響きを聞き、今持っているプラチナの懐中時計と交換してほしいと言う彼に、その男は、売ることも、交換することも出来ないと言う。ただし、この時計を愛してくれるなら、あげると言うのだ。夜に枕元で聞くその小さな針の音に、昔の子ともたちの声が‥。

ぼくにも忘れられない、ネクタイピンがある。神学校時代、夜に働いていたのが養護施設だった。そこの中三の女の子が、修学旅行の時、買ってきてくれた。「牧師になった時に、使ってほしい」と言って渡してくれた。                                   

ラフな格好で説教することが多い俺だが、今も忘れない。支えられて今の自分がある。  アガペーは、ギリシャ語で、魂の愛を指すが、それを多くの人から受けているのだ。




しげちぁん

慈(しげる)という名前を、女の子がつけてもらった。でもこの名前は男の子の名前の様で好きになれなかった。小学校に入学した日に、男の子の名前の子は、水色の紙に、女の子の名前の子はピンクの紙に名前が書いてあり、そこに座るようになっていた。 先生は「しげる」と水色の紙に書いていた。先生は...