ヘルマン ヘッセ「車輪の下」を昨夜に読み終えた。暗い鬱的小説であり、ぼくとしては、あまり好きな内容ではなかった。今まで何度か手にして、何度も途中で投げ出した本だったこともうなづけた。高校生の夏に文庫本をピアノをやっていたある女子大生から「読み終えたから」と手渡されたのが、この本との出合いだった。その夏に少し読んだだけで、忘れ。そして、また本屋や図書館で「車輪の下」を目にするたびにまた手にて少し読み、また忘れるを繰り返して来たが、75歳の今、ようやく決着がついた。
この本の解説が、終わりに、けっこうなページ数で載っていた。そっちの方は引き込まれて一気に読んた。この本の主人公ハンスは、著者自身の体験をもとにした青春小説であったんだなー。
小説のハンスに母親はいない。しかし、著者ヘッセには母親がいて、彼が何度も自殺に向かうような時に、熱い母親の祈りがヘッセを助け、のちのノーベル賞作家ヘッセへとしての道を開いたのだ。いつの世でも母親の我が子への祈りは偉大である。
以下に解説の一番最後の部分を載せておきます。
「ヘッセ にとって 悪夢 の よう だっ た 神学校 生活 の 一面 を 作品 に 吐き出し て、 心 の 傷痕 を 洗う 必要 が あっ た。 しかし、 ふるさと や マウルブロン の 描写 には、 すぐれ て 美しい 魅力 が ある。 試験 を 終え た あと、 ハンス が 草いきれ の する 夏 の 野原 で 上気 し ながら ばった を つかまえる 時、 無心 に 釣糸 を 垂れる 時、 少年 は どんなに 子ども らしく 生き生き と する こと で あろ う。 この ひたむき な 少年 の 悲しみ と 喜び、 神学校 の 生徒 たち の ほほえましい ユーモラス な 群像、 それら は この 生徒 の 悲劇 を 愛す愛す べき 物語 に し て いる。」
ヘルマン・ヘッセ. 車輪の下(新潮文庫) (Kindle の位置No.3206-3207). 新潮社. Kindle 版.
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