ノーベル賞作家(カミュ(1913~60)の『ペスト』電子書籍版を読み終えた。
今、日本を、そして世界中をウイルスの脅威が覆っている時だけに、緊張感を持って、この「ペスト」の小説の中に引き込まれた。
カトリック神父の説教は歯切れが悪いが責められない。彼もペストの渦中で命を落とす。この書の中で、海で泳ぐ時の感触について、泳ぎの好きなぼくが「オッ!」と思い、目をとめた個所がある。それは、著者のカミュも泳ぐ時の喜びを同じように感じていたんだなと、親近感を持った個所だ。
そこには泳ぎについて「水と肉体との饗宴」と表現していた。泳ぐ喜びは、すべてからの自由な解放感であり、おおげさなようだが、生きているんだと実感できる時なのだ。文学的に人生を様々な角度から考察し描いたノーベル賞作家だが、若かった頃の素直な体験や心が出た表現のように思う。カミュ自身もそんな泳ぎの瞬間を味わっていたのだと思い、何となくうれしくなった。
また禁止令の出ている緊迫した中、主人公の医師と親友の二人が、こっそりと夜の海で泳ぐ個所もとても印象に残った。その友も、疫病が収まりかけた時に突然ペストで死ぬ。
初めがあれば、終わりも必ず来る。しかし「人間に不幸と教訓をもたらすために、いつかまた幸福な都市にベストは差し向けられる」の預言的言葉でこの小説は終わっている。ペストから助かった者にも必ずさまざまな死は訪れる。
初めがあれば、終わりも必ず来る。しかし「人間に不幸と教訓をもたらすために、いつかまた幸福な都市にベストは差し向けられる」の預言的言葉でこの小説は終わっている。ペストから助かった者にも必ずさまざまな死は訪れる。
著者のカミュは四十七歳の若さで交通事故で即死している。
0 件のコメント:
コメントを投稿