信仰の恩師である中箕輪の那須野さん宅を訪問した。ぼくは幼いころから「えみやのおじさんおばさん」と呼んできた、そのおじさん、おばさんは、すでに103歳と99歳でキリスト教信仰を全うして、天に召された。その二つの葬儀はぼくがさせていただいた。昔ながらの田畑の広がる風景の中にポツンと建った懐かしい家の玄関先に出迎えてくれたのは82歳になる長男の正道さんだった。
ぼくが年八回ほど発行している「教会ニュース」の初冬号と年末年始号の二通を入れた封筒を差し出すと、よろこんで受け取ってくれた。
その帰り、高い送電鉄塔の下の小さなスペースに車をとめて、懐かしい風景の草道を犬たちと散歩した。森近くの畑に古い小屋かあり、その前でロッキーとクララが、何かを見つけたらしく、近づき身を低くしていた。そして「ギャー」という攻撃的な鋭い声を聞いた。
最初は野良猫かと思ったが、にらみ合っている直ぐ近くに行って見ると、ちょうど猫くらいのやせたたぬきであることが、分かった。
犬たちは鼻をひくひくさせていた。ぼくの「だめだよ」の声で犬たちは身を引いた。そのたぬきはくびれた胴体の背中とたぬき特有の頭と耳の後ろを見せて、ゆっくりと小屋の中へ姿を消した。
近くには密集した森があり、小さな畑にはキャベツや白菜、大根などの残りが植わっていた。たぬきは雑食だから、これからの厳しい冬も、何とか生き延びてほしいなーと思いながら、小屋に向って「頑張れよ」と小さく声をかけ、犬たちとそこを後にした。
野生のたぬきをこんなに間近で見たのは初めての事である。みんなみんな一生懸命生きているのだ。野良犬や野良猫もそうだ。
注)写真はネット上でお借りした野生のたぬきです。
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